毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

今日食事をする為に何カロリー使ったか?~加工食品とカロリー・デリュージョン

 キッチンの歴史: 料理道具が変えた人類の食文化  

食の歴史はテクノロジーの歴史だ!スプーンや包丁、鍋、電子レンジ、冷蔵庫など、古今東西の料理道具、調理器具の歴史をたどる。2014年1月刊

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242ページより  イギリス人は食事中ナイフとフォークをテーブルに置かない。アメリカ人はナイフとフォークを持ち替える。どちらも自分たちのマナーが過ぎれていると考えている。

どの程度加工して食べたか?

料理道具は私たちの身体をも変化させた。「何を食べたか」ではなく、「どの程度加工して食べたか」が現代の深刻な肥満に一因となっている。この現象はカロリー・デリュージョン(caloroe Delusion)「カロリーの錯覚」と呼ばれることがある。その証拠を示す優れた実験が2003年ん、日本の九州大学で行われた。ラットを2つの集団にわけ、一方には硬い飼料を、他方には柔らかい飼料を与えられた。栄養素、カロリーといったそれ以外の条件は同一とする。22週間後、柔らかい飼料を与えられたラットが肥満になっていたことから、歯ごたえが体重増加の重要な要因になっていることが立証できた、さらにニシキヘビなどを使って実験(肉粉と生のままの肉片を食べさせた2グループによる比較実験)を進めた結果、次のことが分かった。(19ページ)

料理テクノロジーが食の歴史に大きな影響

加工されていない食物をよく噛んで食べると、消化に多くのエネルギーが使われるので、食物の摂取カロリーは少なくなる。たとえ名目上のカロリーが同じでも、生のリンゴをかじるよりコトコト煮込んだリンゴピューレを食べる方が多くのエネルギーを摂取することになる。現在の食品のカロリー表示はこの事実に未だ追いついていないのだが、料理テクノロジーがいかに重大な影響を及ぼすかを示す好例と言える。(19ページ)

記録に残る最初のレシピは古代メソポタミア

三枚の粘土板に楔文字で書かれており、今からおよそ4000年前にメソポタミア人の料理法を貴間見ることができる。レシピの大半は鍋料理で、そのほとんどがブロス(肉のだし汁)やクールブイヨン(魚を煮るたsめののストック)である。作り方はたいてい「すべての食材を鍋に入れる」というもの。鍋の登場で初めて料理が洗練された、料理らしくなった。それだけでなく鍋料理は直火の炙り焼きよりも手軽だ。(40ページ)

テクノロジーの勝利

料理とは何か?ひとつの側面がカロリー摂取効率を上げる追求である事が分かる。料理方法とテクノロジーがカロリー摂取効率の上昇をもたらし、地球上の人口は70億人を越えるまでに増えた。料理とそれを取り巻くテクノロジーの勝利と言っていい。そしてそれは美食の追求でもある。我々は美味しいものを効率よく吸収する方法を手に入れts。

料理が美味しく、柔らかくなって、、、

メソポタミアのレシピから4000年経過した現代、食品は工業化され、加工割合を劇的に上昇させた。人が口に入れて咀嚼していた事、胃の消化活動のかなりの部分を食品工場でフードプロセッサーが済ませてしまう。もはやカロリーを摂取するのにカロリーを使う事はない。カロリー・デリュージョンの発生である。この状態はメソポタミアの時代から特権階級にはカロリー・デリュージョンが発生していたはず。現代は(発展途上国を除く)すべての人がその対象となる時代である事に気づく。美味しい料理はまたカロリー摂取効率も高い。

蛇足

カロリー摂取にカロリーを使うメニューを考えてみる。