毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

資本主義は新しい物を生み出さない、それは海賊が担う?~この文脈でLine乗っ取りを考えると・・

海賊と資本主義 国家の周縁から絶えず世界を刷新してきたものたち

 海賊集団が登場するのは、いつも激動の時代である。
彼らは領域を規格化しようとする国家権力に対し、真っ向から対抗する価値観を掲げ、資本主義の影響力がもっとも薄い辺鄙な場所、いわばグレーゾーンを狙って出没する。

 

海賊とは何か?~複数の視点から

1520年から1650年にかけて、スペインは、独自に航路を開拓し、占有権を主張していた。そして、その海域を通行するすべての船舶、自国船以外のすべての船舶を「海賊船」と読んだいた。・・・国家君主にとっては自分の定めたルールを守らないのが海賊だった。(45ページ)

海賊が出没するのは脱テリトリー化された海域

資本主義的な投機家たちは、新天地にテリトリー化されていない資源、つまり特定の土地区分によって、正式な所有権が確立される前の状態にある資源を見出し、そこに殺到してきた。・・・海賊が登場したこの時期、海でも陸でも、労働力や資源、資産の脱テリトリー化を促す動きが相次いでいた。(35ページ)

 

従来の秩序から解放され資本主義の対象になりうる流動性を確保する事と言えよう。つまりは資本主義の周辺の海域である。

 
海賊という組織が果たす事

海賊組織は、国家に先駆け、あらゆる方面において新しい価値観、新たな変化形を生み出し続ける。(武器は持っても正式な)軍備を持たない船は、その分、高速で進むことができる。奇襲をかけ

相手が防衛体制を整える前に、相手の武器を自分のものにして勝利するのだ。船内だけですべてが揃う海賊組織は、投資家が資金を集めて送金してくるのを待つ必要もない。そして、陸での所有権がどうなっていようとも関係なく、どんな手を使ってでも、相手の船を奪い取ればそれでいいのだ。(199ページ)

海賊と国家、そして資本主義

国家と海賊組織の関係を利用し、資本主義は常に変化し続けるのだ。・・・船が行き来する海、電波の飛び交う空間、さらには、未知の世界が広がる宇宙へ、権力支配の裂け目から様々な可能性が見えてくる。・・・フロンティアを切り開き、限界を越えることができたのは、印刷技術、航海技術、電気、電波、遺伝子、宇宙、バーチャル世界といった最先端技術の開発があったからだ。こうした技術の発展こそが、自由を求め、資本主義的な企画、取り決めの外へ飛び出す力となったのだ。

 
資本主義にはフロンティアを生み出す力が存在するか?

資本主義は確立したフロンティアを拡張し効率を高められる。しかしながら未知のフロンティア、フロンティアと呼べるかどうかわからない段階は実は海賊と国家が競い合う中から生まれてくる。一度フロンティアが成立をすれば国家が法律により管理し、海賊はその外に逃げていく。

 
Lineの乗っ取り(ハッキング)とは何か?

f:id:kocho-3:20140921010650p:plain

アップルの売上の横取りを狙う海賊!!


【実録】死闘74分! 今度こそマジのマジで念願だった「LINE乗っ取り」と戦えた!! ジラしにジラして寝技に持ち込み相手はブチギレ爆発TKO | ロケットニュース24

海外からSNSをハッキングし、コンビニでI-tuneのカードを購入させ、そして取り込み詐欺!をしようとする。webとSNSと画像によって構成されたバーチャルな世界では今だ国家の統制が100%及んではいない領域と実感できる。I-tune、アップルが米国の認可を受けた東インド会社の様な存在であり、中国に本拠地のあると言われているハッカーは正に海賊であろう。日本の上でこの二つがせめぎ合っている様に見えてくる。

蛇足

資本主義は私有財産を担保する国家と離婚できない。