毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

コンピュータとの競争、勝利の方程式があった!~コンピュータを味方にするという事

機械との競争

「これからがデジタル革命の後半戦。飛躍的に能力を拡大していくコンピュータに人間はますます仕事を奪われる」

f:id:kocho-3:20140904075101p:plain

産業革命が証明する、機械との競争

産業革命の初期までは立派に雇用されていた者の職が、20世紀初めにはほぼ消滅するという事態が起きた。この被雇用者とは、馬である。役馬の数がイングランドでピークに達したのは、産業革命からしばらく経った1901年のことだ。この時点で325万頭が労役に使われていた。・・・だが内燃期間が19世紀後半に登場すると馬は急速に駆逐され、1924年にはその数は200万頭を下回った。

産業革命の意味する所

経済の拡大をもたらした相次ぐ技術革新は、機械を敵に回しての競争ではなく、機械を味方につけた競争から生まれたとうことである。人間と機械は協力してより多く生産し、より多くの市場を開拓し、より多くのライバルを打ち負かした。(109ページ)

弱い人間+マシン+よりよいプロセス

いつもコンピュータが勝つようになって、人間対コンピュータの直接対決がおもしろくなくなったため、試合は「フリースタイル」が認められることになり、人間とコンピュータがとういう組み合わせで戦ってもよいことになった。近年のフリースタイル・トーナメントでの優勝者は、最高の人間でも最強のコンピュータでもない。カスパロフの説明を紹介しよう。(110ページ)

「優勝者は、アメリカ人のアマチュアプレーヤー2人と3台のコンピュータで編成されたチームだった。2人はコンピュータを操作して学習させる能力に長けており、これが決め手になったと考えられる。対戦相手にはチェスのグランドマスターもいたし、もっと強力なコンピュータを持つチームもいたが、すべて退けた。(中略)[弱い人間+マシン+よりよいプロセス]の組み合わせが、一台の強力なマシンに勝った。さらに驚いたことに、[強い人間+マシン+お粗末なプロセス]の組み合わせをも打ち負かしたのだ」(110~111ページ)

f:id:kocho-3:20140904075404p:plain

2人のアマチュアの勝利はショック Dark horse ZackS wins Freestyle Chess Tournament | Chess News

 
マシンを味方につけること

このパターンは、チェスだけでなく経済のどのシーンでも有効である。医療、法律、金融、小売り、製造、そして科学的発見においてさえ、競争に勝つカギはマシンを敵に回すことではなく、味方に付けることなのだ。(p111)

如何に上手にコンピュータを使うか?

フリースタイルのチェスの勝因は「弱い人間+マシン+よりよいプロセス」。具体的には市販の5種類のチェスソフトを3台のPCで併用し、チェスソフトが指示した「次の手」を、相手への心理的インパクトを含め「チェスのアマチュア」が選択した。よりよいプロセスとは5つのソフトを3つのPCにインストールする仕組み全体である事は言うまでもない。この結果は我々は如何に上手にコンピュータを使うか、を追求するべきである事を意味する。上手にコンピュータを使うか、当たり前すぎて意味を汲み取れない事がフリースタイル・チェスが教えてくれる。

蛇足

自分がコンピュータを味方につけるにはどうしたらいいか?