宇宙エレベーターは2029年実現する!?~宇宙と地球を結ぶ、ジャックと豆の樹
SF 小説やアニメに登場する宇宙エレベーター(軌道エレベーター)は、SF の中だけの夢物語だと思われてきました。本書は2013年刊行。
宇宙エレベーターとは
宇宙からケーブルを垂らし、それを地球まで伸ばす。ケーブルは角運動量(ある物体が持っている回転の強さを表す物理量)によって、垂直に保たれている。そのケーブルを伝わって、ケーブルカーのような乗り物が、ケーブルと車輪との摩擦を利用して昇っていく。・・・ケーブルは一見すると、宇宙から垂れ下がっているかのように見える。ところが実際は、地球の自転による遠心力と、ケーブルと地球が引き合う引力が釣り合うことによって、空中に留まっているのである。(28ページ)
角運度量とは地球の自転による遠心力
長いひもの先端にボールを結わえ付け、反対側を地球に固定してみる。すると地球の引力によってひもは地球側に引っ張られ、ボールは地球の自転によって地球と反対側に引っ張られる。両者のバランスが保たれると、ひもは、ぴんと張った状態になる。・・・ケーブルがその役目を果たす為には、静止軌道(36000㎞)よりもさらに上空に伸びていなければならないということである。(86ページ)
宇宙エレベーターは月と地球の距離の1/4の全長を持つ
我々の基本設計では、宇宙エレベーターのケーブルの長さは10万キロメートル。カウンターウェイトはケーブルの重量の約60パーセントの重さとなる予定である。ケーブル全体のうち、36000㎞よりも下側の部分は引力によって地球に引っ張られ、36000㎞よりも上空では、角運動量によって地球から離れていく。(87ぺージ)
初めての方へ──宇宙エレベーター早わかり | 一般 | JSEA 一般社団法人 宇宙エレベーター協会
鍵はカーボンナノチューブのケーブル
宇宙エレベーターの建造に求められる強度を満たす素材は存在しなかった。ところが1990年代、カーボンナノチューブという超軽量かつ高強度の物質の発見によって、状況は一変した。重量比で鉄鋼の180倍の強度を持つ新素材の開発可能性が出てきたのである。・・・現状ではカーボンナノチューブをもとにそて作られる素材の強度は、鉄鋼の約18倍までであり、それ以上のものはまだ実験段階にある。(31ページ)
最初の提唱からは既に100年以上が経過
SPECで使用したベルトとロープについて | SPEC | 技術ニュース
宇宙エレベーターを実現する為の障害はケーブルの製造技術、これは近い将来実現されると考える。コストが決まれば採算性のあるアプリケーションは必ず出てくるもの。こうやって考えると宇宙エレベーターは現実の一部である。ディテールの情報があって初めて現実として捉えられる。
蛇足
ジャックと豆の木を思い出す。