毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

テラフォーミングという言葉を知っていますか?~NASAは2021年火星に植物を送り込む!

2035年 火星地球化計画 (角川ソフィア文庫)

竹内氏はサイエンスライター、単行本は2004年、文庫は2011年の出版。10年前に30年後の火星を書いた。

 テラフォーミングとは

惑星工学の一つ。特に地球外惑星環境の許容範囲を高めて、生命を維持できるように持っていくもの。テラフォーミングの究極の目標は、地球の生命圏(バイオスフィア)の全機能を再現できる制限なしの惑星生命圏を作ること、すなわち人類は完全に居住できる環境を作ることである。(242ページ)

火星テラフォーミングの条件

火星はとてつもなく寒い。平均気温は地球の摂氏17度に対してマイナス53度であり、地球の南極の冬に相当する。・・火星テラフォーミングを簡単に言えば、このような火星環境を、人間が宇宙服や気密構造の建物なしに、つまり屋外でも生活できるようにすることである。・・・f:id:kocho-3:20140807074953p:plain

火星が寒い理由は①太陽からの距離が遠く、太陽光が地球の40%程度、②火星には地表の1/100程度の二酸化炭素の大気しか存在しない(温室効果がない)③重力が地球の1/3しかない。

 

修復テラフォーミング

(火星は)はるか昔、生物が存在できるような環境を持っていた。気温ははるかに高く、濃い大気と海があった、・・もし火星環境が変化したプロセスを逆戻りさせることができれば、火星は修復されて、再びかつての環境を取り戻すことができるはずである。・・・火星の薄い二酸化炭素の大気を人間が呼吸できるように変える事は容易ではないが、それは既に地球の植物がやっていることである。そのうえ植物は、必要最小限度の環境条件さえ用意すれば己をコピーして際限なく増殖する能力を持っている。従って、ある種の植物を火星の地表に少量でも送り込めば、植物はそこで自ら増殖しながら、呼吸作用によって二酸化炭素を酸素に変えてくれるはずである。人間がこのプロセスを加速するには、選び出した植物に、現在の火星環境に適応するように遺伝子操作を加えて送り込むだけである。(219ページ)

微生物や藍藻類、菌類などを送り込む

植物にまかせて火星の二酸化炭素の大半を酸素に変える(て人間が呼吸できる様になる)には、計算上10万年という時間がかかる・・・植物はかつて地球上でこれと同じことをやりとげるまでに20億年を費やしたのだから、、。ある種の微生物や藍藻類、菌類などが火星で生きられるようになるのはそれほど先の話ではない。・・・濃密な二酸化炭素が存在するようになれば、人間はその時点で宇宙服を脱ぎ、酸素マスクさえつければ普通の衣類で生活できることができる。・・計算では100年ほどで火星は今よりずっと暖かくなり、植物が生育できるようになるという。

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NASA May Put Tiny Greenhouse on Mars in 2021(2014年6月)

NASAは火星に"GreenHouse"を送り込むと発表,テラフォーミングの第一歩

 

30年先は未来ではなく、現在の延長線の上にある。7年後にテラフォーミングの実験が行われ、この結果を我々は知る事になる。

蛇足

未来は予測するものではなく、創るもの。