毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

光は手を透過していた!~二次光という言葉を知っていますか?

光とは何か (宝島社新書)

江馬氏は光物理の研究者。

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「宇宙で光は見えるか?」クイズの答え(ネタばれ)

真空の宇宙空間では、目の前を通りすぎる光線が見えることはない。私たちが暗い部屋で「光の筋」を見るとき、それは通りすぎる光線そのものを見ているのではなく、光の通り道にあるほこりや水滴などの集まりを見ている。

 

電子が振動すると光が生まれ、光を受けると、電子が振動を始める

「光や電磁波の本を見ると電場と磁場が交互に発生して、光速度で空間を伝わっていく。これが電磁波である。」・・・可視光付近の電磁波では、磁場が電子に与える影響はほとんど無視できます。従って「電子が振動すると、振動する電場が生まれて、それが波のように空間を伝わっていく。これが光を含めた電磁波である。」(142ページより再構成)

透明とはどういう事か?

物質の透明・不透明(電磁波を通すか、通さないか)は、物質の固有振動数が左右することになります。固有振動数が可視光の領域にある場合、可視光を吸収することになるので、その物質は不透明になるのです。例えば、私たちの身の周りに多く存在する有機物(炭素を含む化合物のほとんど)、特に多数の分子からなる有機物は、可視光を吸収するので透明ではありません。(174ページ)

可視光を吸収するとは光の電場が消える事

電球の光が手のひらに当たったときに、手のひらを構成する分子の中で電子が振動します。・・・振動する電子からは光が出ます。この時多数の分子から出た光が強めあったものを「二次光」といいます。そして二次光も、やはり私たちの目に届きます。しかし電球からの光と、それが手のひらに当たって生まれた二次光とは干渉によってお互いに打ち消し合います。

 

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(ミクロの世界では)手のひらを通り抜けてきた電球からの光(入射光)と、電球からの光によって手のひらを構成する分子が揺さぶり続けてできた光(二次光)とが、それぞれ目にやってきます。その二つが干渉して打ち消し合うので私たちの目には見えないのです。(177ページ)

 

X線は可視光に比べ波長が短い。X線の波長は有機物の振動数とは違うので体を透視する。そしてそれは目に見えないがフィルムは感光させる。

蛇足

光は他の物質と出会うことで、初めて何かが始まる