毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

ザトウクジラのヒレは長さ5m、どうしてヒレに凹凸があるか?~美しい水中写真にため息!

小さき生物たちの大いなる新技術 (ベスト新書)

 

カタツムリやアリ、蚊などどこにでもいる身近な生物たち。だが、彼らは地球上に35億年前に誕生した生物のなかで、厳しい生存競争を生き抜いてきた精鋭だ。そこには思いもよらない超技術が潜んでいる。この生物の形態やシステム、戦略を研究・模倣しようというのが「バイオミミクリー(Bio-mimicry)」、すなわち「生物模倣」という考え方で、近年加速度的に盛んになっている。

 

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カメレオンは外気温などの刺激によって自動的に変色する。紫外線をあてると発光するレアアースを使って同等のコンセプトの塗料の開発されている

 ザトウクジラのヒレは長さ5m 

ザトウクジラの特徴は、丸い背と長い胸びれである。海面から突き出した胸びれを見るとわかるが、ひれの前の縁にこぶのような凹凸がある。常識的には凹凸によって水の抵抗が増えそうである。そのため、単にフジツボの塊がくっついているのだといわれていたこともある。だが、海中ビデオカメラやデータロガーを取り付けて行動を解析すると、ザトウクジラの胸びれが生み出す推進力によって水中を移動していることが分かった。かなりの急角度でも難なく潜行することができるのは、胸びれにある凹凸のおかげなのだ。

アメリカのハーバード大学のグループは、凹凸のない滑らかなひれと比較した。その結果、仰角(水の流れに対して胸びれがどの程度傾いているかを表す角度)を滑らかなひれよりも最大で40%も大きくすることができ、楽々と水中移動していることが分かったという。(182ページ)

 

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Shake Hands with Giants - Beautiful Lands水中カメラマン潮田マサ氏撮影

 標準的な個体では体長11 - 16m、体重30tほどの中型だが、とくに南半球の大きなものは19m、胸ビレの長さ6m、40tと、大型種に匹敵する体躯に達する事がある。全長の3分の1に達する長く大きな胸ビレと上下の顎にあるフジツボに覆われた瘤状の隆起が特徴の一つ。25km/hで泳ぐ。身長が小さい時期は5分、身長が大きくなれば45分息を止めて泳ぐ事ができる。和名の由来はその姿(背ビレと背中の瘤等)が琵琶を担いだ座頭に似ているためと言われる。推計生息数は10,000頭程度(Wiki

蛇足

ザトウクジラのヒレは約5m、潮田氏の写真が全てを理解させる。