3Dプリンタを遠隔転送装置として想像してみる~現実がSFを追い越した!?
田中氏は3Dプリンタ等の活用を工学者の立場から提案。「「情報処理」から「物質変換」へ、おどろきの未来はもう始まっている!」
本書はカナダ出身のマクルーハンのメディア論に従って3Dプリンタを分析している。
マクルーハンはあらゆるメディアは身体の拡張であるというフレームワークを提供している。望遠鏡は目の拡張と例えればわかり安い。
3Dプリンタは「細胞の遺伝子の動き」の拡張
「私たちの細胞の中には、実は3Dプリンタと似た機能がもともと備わっています。遺伝子情報が書き込まれたDNAの塩基配列は、4種類の記号の組み合わせ、すなわち2ビットの「デジタルデータ」の列にほかなりません。
遺伝子という情報からタンパク質という「物質」が製造されるわけです。
情報から物質への変換装置。それが私の「3Dプリンタ」観です。」(41ページ)
3Dプリンタはメディアとしてどういう変化をもたらすか?
田中氏は以下の様に分析する。
- 衰退:量生産・大量販売・大量破棄の工業システム
- 回復:日常の物づくり「デジタルネットワークにつながった家内制機械工業(?)」
- 強化:デジタルによる拡大・縮小、反転などの処理
- 転化:物質と情報が等価になる。
マクルーハンは転化を「あるメディアが極限まで進んだ時」を想定することとした。
「極限はおそらく、デジタルとフィジカルが完全にひとつのものとして融合してしまうこと、情報と物質が等価になる世界なのです。(226ページ)
我々は既に実感できる!
「3Dプリンタは(とりあえず)ミニカーのNSXの遠隔転送装置」
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アマゾンから配送を受ける、遠隔転送装置を遠隔転送受けるのに限りなく近い。
蛇足
新しいメディアは想像する時から始まっている。