毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

我々はコンピュータのプログラム結果を受け入れる様に既にプログラムされている。

教養としてのプログラミング講座 (中公新書ラクレ)

清水氏はコンピュータプログラミングの実務家。「もの言わぬ機械とコミュニケーションする手段「プログラミング」。」

プログラムの語源はギリシャ

プログラムという言葉の語源、これはギリシャ語であると言われています。「プログランマ」と発音し、「公に書かれたもの」というのがその意味。多くの方が誤解をしているのですが、近しい間柄にあるように感じるプログラムとコンピュータ、これらはもともと、完全に切り離された概念でした、法令や宗教的儀式、哲学、その他人々をコントロールするためのルールこそが、かつては「プログラム」と呼ばれていたのです。(23ページ)

コンピュータのプログラミングとは~

著者は「コンピュータはプログラムされた通り動く、という性質を理解した上でプログラミングする場合、以下の点がポイントと主張する。

  1. 伝え漏らすべからず:「「自らが判断を下すのではなく、指示に従って動く」という性質がコンピュータに備わっているっている以上、期待している事象があるのなら、それも伝え漏らさず、プログラムに加えなければならない。
  2. あくまでコミュニケーション一様態:「ミスを犯すことを前提としつつ、コミュニケーションの手段について工夫する」
  3. フルプルーフ(お馬鹿をしても平気)の活用:「プログラムを想像しうる最悪の使い方をしても決してシステムを破壊しない」、例えば例外処理を想定
  4. インデントやカラーリングでめりはりを:プログラムの記述を見た人が論理構造を類推しやすくする。

(67ページより再構成)

 

すべては「自分ではないコンピュータにスムーズに意志を伝え、思い通りに動かす」為にできたものである。著者は親子のお買い物の伝言の例を出しているが、私は組織論との類似性に驚く。

 

タロット占い~タロットの手順はプログラム化されている

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筆者はタロット占いを例に上げている。

どこで誰が行おうと、出た相手を信頼させる文脈を作れるか。そのために何世代にもわたって洗練され、構築された手順が占いなのであり、これはプログラムと相通じるところがあります。(68ページ)

プログラミングとは、元来、自分のいない所で、別の何者かを思い通りに動かす技術。たとえば法律や宗教的光速は、それを誰が考えたか、誰がそうさせてりうかを意識させることなく、人々も暗黙的に従っています。その原初の形態が、古代世界で為政者の意思決定を行っていた「占術」だと言えます。(74ページ)

 

人は誰でも他人の言われた通りにやるのは嫌なものである。タロット占いは自分で選び、させ、そこで選択されたカードは自分と関係性がると認識される。他人からプログラミングされたロボットではないが、やり方によっては選択とは関係なく決まった結論を提示する事も可能である。我々はプログラムされた世界に住んでいる。我々は自分で選択しているのではなく、何かに選択させられているのかもしれない。一個人の陰謀論というより、長い時間をかけて形成された社会的意志と、現代の資本主義、民主主義、これらは我々は選択したと思っている社会のプログラムである。

蛇足

我々はコンピュータのプロググラム結果を受け入れる様にプログラムされている。