毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

「ダーウィンを数学で証明する」から分かる事~祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり

ダーウィンを数学で証明する

チャイティンは「数学には根本的に知り得ない事がある」と証明したΩ関数を発見した数学者。

私の見解では、もしダーウィンの理論が、支持者が信じるほどに単純で本質的なものだとしたら、それに関する同じくらい基本的な数学理論、つまりダーウィン理論の考え方を、純粋数学で通常求められるような一般性、正確性、抽象度で表現した数学理論が存在していなければならない。(5ページ)

私の理解したチャイティンダーウィンの数学的モデル

生命の定義:生命は進化するものであり、可塑的で創造的である。

進化のトイモデル:一つの整数を計算して停止する単一変異ソフトウェア生命体

・ビジービーバーモデルBB(N):有限のチューリングマシンであり、「Nビットで捉える事のできる最大の整数を出力する」

・進化はソフトウェア空間における山登りランダムウォーク:山を登る様に、出力がより最適化する方向でのみランダムな変化を起こす。

・解がない、計算不能などのケースは外部的に排除される:アルゴリズムでは解決できないチューリング問題は考慮しない。

進化のトイモデルから進化するのに必要な時間を測る

インテリジェントデザイン(最初から最適解が与えられている場合)       2^N

②しらみつぶし検索(完全なランダムウォーク   2^N→計算が爆発し、計算不能

③山登りランダムウォ                 N^2~N^3

チャイティンの結論

山登りランダムウォームはしらみつぶし戦略よりインテリジェントデザインに数学的には近い。「ランダム性は創造的だ!ランダムな変異と自然選択によって、ある種の知性に到達する!知性はひとりでに出現するのだ.」(78ページ)

f:id:kocho-3:20140606072821p:plainhttp://clubbed to death - Matrix soundtrack

Kochoが考えた事①進化のトイモデルの意味

私の理解は「ダーウィンの進化論は合目的性論議を内包している事が数学的に証明されてている。」という事である。進化のトイモデルは「山登りランダムウォーム」と「解がない、計算不能は外部的に排除される」の2つの前提をおく。これは進化というものがある目的の最適解の為に行われるという事を意味する。進化のトイモデルでダーウィンの進化論を説明すれば「ソフトウェアは最大の整数を出力する方向で進化しなければならない。」という事が明確になる。

Kochoが考えた事②DNAは最適化されていない。

今日我々はDNAには不必要な遺伝子が多く存在する事を分子生物学の成果として知っている。DNAは進化のトイモデルの様に最適化された結果とは言えない。私にはダーウィンの進化論が「完全性の存在を求め続ける生物学的要求」=「神の存在」を前提とするものだと理解した。(大野乾「大いなる仮説~DNAからのメッセージ」25ページを参考)

蛇足

完全性の否定の表現、「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」