毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

太陽の明るさは11年周期で変動している~悲観的にならずに済ます為に!

太陽の科学―磁場から宇宙の謎に迫る (NHKブックス)  

柴田氏は天文の研究者。 人工衛星「ようこう」「ひので」などの最新成果により、太陽は爆発を繰り返すダイナミックな天体であることがわかった。

太陽の構造と黒点

 私たちの目(可視光)では「光球」といわれるところが見えます。これは代替温度が6000度、厚みはわずか、500㎞で、私たちが観測しうる、一番深い所です。光級に時々現れる点々が「黒点」で、その正体は磁場です。磁力線の束である磁束管の切り口と考えられています。実は黒点こそ、あらゆる太陽活動のエネルギーの源となっているのです。

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 フレア、プロミネンス、コロナもそうですが、黒点も磁場があるために発生します。黒点は必ずペアで現れ、それぞれN極とS極に対応します。

 

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「ひので」太陽黒点半暗部形成の前駆構造を初めてとらえた

 

太陽の明るさは11年周期で変動

 

太陽の明るさは11年周期で増えたり減ったりします。ちょうどそれが黒点数の11年周期と重なることがわかっています。黒点が増えると明るさが増し、黒点が減ると暗くなります。ただ、明るさの変動はごくわずかです。太陽定数でいうと、1366ワット/㎡になる。すなわち千分の一、0.1%の変動です。但し、何しろ太陽エネルギーですから0.1%とはいえ、その変化の影響はすごい。地球温暖化といわているのは100年で0.6度ぐらいですから、割合でいうと0.6度÷地球の表面大気温度=0.2%です。(126ページより再構成)
 黒点は磁気エネルギー+熱エネルギーを太陽の中心から表面に運ぶ 

磁場のエネルギーはもちろん、太陽の核融合でできたエネルギーをもとに作られているわけですが、磁場にエネルギーを注ぎ込むときに、一緒に熱エネルギーをくっつけて、それを表面に吐き出しているのではないかと推測されます。つまり磁力線が浮かび上がってくるときに、磁場のエネルギーに加えて熱エネルギーも一緒に運ぶので、磁場がたくさんでるとき、すなわち黒点が沢山でるときに太陽が明るくなるのではないか、と考えられるのです。(128ページ)

1000年の黒点の観測データ~ガリレイ以前は炭素同位元素も使う

昔の黒点スケッチの記録を調べることで、1640年代くらいから1710年代は黒点がほとんどない時期であることがわかりました。17世紀のヨーロッパは異常に寒かったことが知られ、「ミニ氷河期」と名付けられていますが、ここから黒点の数と気温の相関関係が想起されるからです。(132ページ) 

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黒点数が増えると温かくなる

 筆者は気象学者の発言を引用し「11年くらいの短時間の変動は、成層圏より高い所では明確に検知できますが、地表付近ではそれ以外の内部変動が大きすぎて、影響があるかどうか確かな事は言えない。一応、黒点数が増えると地球が暖たかくなり、減ると寒くなる」と説明している。(135ページ)

 

 

我々は地球の平均気温が上昇している事は知っている。しかしながらその原因を二酸化炭素だけに求める事は合理的な判断とは言えない。地球はもっとも太陽の影響を強く受けているのだから二酸化炭素だけでなく、黒点の影響も考慮する事でより正確になる。インターネットで簡単に手に入る情報から非合理的な論理を見破る事ができる。

 

 蛇足

ちょっと調べて、考える。悲観的にならずに済む方法。