毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

どうして我々がストレスに打ち勝てるか?~DNAの情報により常に更新可能

タンパク質の一生―生命活動の舞台裏 (岩波新書)  

永田氏は細胞生物学の研究家。「細胞という極小宇宙で繰り広げられる生命活動の主役はタンパク質である。」

 
セントラルドグマ

情報を保存するDNA。次に、その情報を転写し、伝達・翻訳に働くRNA。そしてその情報を元に生成され、構造を持つことによって機能を果たす、すなわち触媒能を持つタンパク質である。(46-ページ)

 

DNAは情報に過ぎず、細胞内で機能を果たすのはあくまでタンパク質。

 
タンパク質は細胞内で常にストレスに晒されている

細胞には常に様々なストレスがかかっている。そのために、タンパク質は常に変性してしまう危険性に晒されている。いったん変性したタンパク質は凝集を起こしやすいので、何とか変性や凝集を阻止したり、いったん変性してしまったタンパク質を再生して使えるようにしたり、といった処置が必要となる。こうした、いったん出来上がったタンパク質が危機に瀕した時にそれを守るために、ストレスタンパク質が働いている。(82ページ)

 

ストレスによりタンパク質が変性・凝集=生卵とゆで卵の関係

熱によるタンパク質の凝集という出来事には、私たちは日常生活で当たり前の様に出会っている。典型的な例はゆで卵である。生卵のとき、卵に含まれるタンパク質はとけた状態にある。これに熱を加えるとゆで卵になるが、ゆで卵というのは、要するにタンパク質が凝集して固まったものだ。私たちの細胞の中でタンパクが固まってしまうと、細胞は死んでしまう。(83ページ)

ストレスタンパク質は細胞が最初に獲得した自己防衛機能

植物にもバクテリアにも同じような機能を持ったストレスタンパク質が存在しており、ストレスタンパク質は進化のもっとも早い時期に現れたタンパク質の一つと考えられている。(中略)細胞1個のレベルで、生命を守るシステムとして、ストレス応答はまさに生命の生死を左右する必須の自己防衛機構として発達し、機能していたものと考えられる。(98ページ)

細胞の中で機能を担っているのはタンパク質。タンパク質は変性・凝集が起き難いシステムがある。さらにタンパク質は常に新陳代謝をしている。これらの「現場の仕組み」から「本社のDNAの情報」は影響を受けない。結論から言えば、「我々のDNAの情報はストレスの影響を受けない。DNAの情報がある限り、すべては維持・修復可能。」

蛇足

何事も私のDNA情報に影響を与える事はできない。DNA情報には何事の対応策が書いてある。