毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

醤油と納豆の共通点、発酵食品であり主原料は大豆、それでは大きな違いは?

人類とカビの歴史 闘いと共生と (朝日選書)  浜田氏は食品とカビの関係を研究。

「 人類より遥か古く、10億年前にカビは地球上に誕生し、人類はその多大な恩恵を被ってきた。いわば、カビと人は共存関係にある。」

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微生物とカビとの関係

微生物とは、目に見えないほど小さい生物の総称である。微生物の主なものには、ウィルス、細菌、菌類などがある。その中で、カビは菌類に含まれる。菌類の主なものと言えばカビの他に、キノコ、酵母がある。「カビ」という言葉はいわゆる呼称で、学術用語ではない。例えば、キノコの中には非常に小さいものがあり、どもまでをカビと呼んでよいかについて迷うことがある。(9ページ)

カビなどの菌類はどんなものを栄養にしているのだろうか?菌類は、枯れ草、落ち葉や朽木を分解して土に環す地球の掃除やさんと言われている。菌類は、植物と違って光合成ができないため、自ら生きるエネルギーを作りだすことはできない、故に、他の生物の作り出した有機物を、酵素で分解しながら生きている。(17ページ)

 

発酵とは微生物が行う有機物の分解反応

発酵は人のとって都合のよい様に制御したものであり、腐敗との区別は恣意的である。発酵で利用している微生物はカビや酵母などの菌類だけではない。乳酸菌などの細菌も同じ様に利用している。たとえば、ヨーグルトを作り、漬け物が酸っぱくなるのは主に乳酸菌の作用である。多くの発酵食品は、様々な菌類と更には細菌の共同作業の賜物である。(57ページより再編集)

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チーズ:乳酸菌によって生乳から乳清が作られ、その後青かびが風味を与える

醤油:大豆、小麦と種麹を混ぜてコウジカビが繁殖、その後酵母と乳酸菌が作用

納豆:細菌である納豆菌で大豆を発酵

 

細菌とカビの区別がなぜつかないか?

細菌とカビ=真菌は細胞核の有無から生物学的系統はまったく別。この区別がイメージできないのは発酵においてカビと細菌が共同して行われているから。例えばいずれも大豆から作られる醤油の発酵は主にカビ、納豆の発酵は細菌。本質的には日常生活においては区別する必要が薄いから。

 

蛇足

食中毒の主な原因は細菌でありカビではない。