毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

最初の野菜は何であったか?~地球システム論から

野菜の起源

野菜は、食用の草本植物の総称。水分が多い草本性で食用となる植物を指す]。主にや根、茎、花・つぼみ・果実を副食として食べるものをいう。(Wiki)定義に遡るまでもなく、人間が食べる植物が野菜。野菜は狩猟採集の時代も概念としてはあるが、本質的な意味では人間が農耕始めた時に遡ると考える。

松井教授の東大駒場講義録 ―地球、生命、文明の普遍性を宇宙に探る (集英社新書)

松井氏は惑星科学の研究者、氏の地球システム論の観点からは農耕は生物圏から人間圏が分化した時、1万年前程度と説明する。 

生物圏

20数億年前になると、この細々生きてきた生命が地表付近で大量に繁殖して、地表付近に有機体から成る新しい物質圏が生まれます。

人間圏

人間圏の誕生がなぜ1万年前だったかというのは、気候システムの変動に関わっています。気候システムが現在のような気候に安定してきたのは1万年前のことである事がわかります。

f:id:kocho-3:20140120074926p:plain(55ページ)

 
農耕牧畜 

人間圏を作って生きる生き方というのは、実は農耕牧畜という生き方です。農耕牧畜はというと、例えば森林を伐採して畑に替えると、太陽からの光二関数rアルベルト(反射能)が変わってします。ということは地球システムにおける太陽エネルギーの流れを変えているわけです。また雨が降った時、大地が森林で覆われているときと畑ではその浸食の割合が異なります。別の言葉で言えば、そこに水が滞留している時間が違ってくる。すなわち、エネルギーの流れだけでなく、地球の物質循環も変わるということです。これを地球システム論的に整理して概念化すると、人間圏を作って生きるという事になる。人類が生物圏から飛び出して、人間圏を作って生き始めたために、地球システムの構成要素になったのです。(55ページ)

野菜(農耕)の歴史(Wiki)

農耕の起源については諸説あるが、今から約15000年ほど前、中国長江流域で稲作を中心とした農耕が始められていたことが最新の発掘調査で確認されている。またレバレントシリア周辺、肥沃な三日月地帯の西半分)では、テル・アブ・フレイラ遺跡(11050BP, 紀元前9050年頃)で最古級の農耕の跡(ライムギ)が発見されている。

 

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左:江西省 上饒県 万年県  右 シリアテル・アブ・フレイラ

蛇足 

野菜は保存できない以上痕跡は残らない。穀物も野菜も一括りにすれば1万年前と考えていい。最初の野菜が何であったか、考えても答えは見つからない。