毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

エピクロスの原子論的唯物論と現代の物理学

 エピクロス 教説と手紙 (岩波文庫 青 606-1)本書は1959 年!が初版。本書そでに、「 真の幸福は外物にとらわれず、また煩わされず、死の恐怖から免れた無動、平静の精神状態であるとするエピクロスの哲学は、本巻中の各篇から直接に汲みとることができるであろう。」

エピクロスの原子論的唯物論ヘロドトスへの手紙

それ自身では不可分で不変化の原子が根本物質であり、それらの原子が無限の空虚のうちを運動していて、いっさいの事物は、それらの原子が合成してできたものである。

エピクロスは、原子に固有な重さという性質を与え、これを主張した。原子は、重さを因とする落下の途中、まったく定まらない時と所でーその意味でー偶然的にーわずかに方向が偏る、と主張した。これは原子の運動の偶然性の契機を導入したものであり、つまり、物事の運動を、いわば必然性と偶然性との統一として捉えたものである。

さらにエピクロスは原子の空虚注における運動の速さについて、それは無限でなないが、目に見えるどんな事物の速さよりもはるかに超えるもの(超高速だが有限一定)と考えた。(編者の解説より、198ページ~200ページから再構成)

アレクサンドロス大王の時代

アレクサンドロス大王はBC320アラビア半島遠征の途中、病に没す。彼の家庭教師は哲学者アリストテレスエピクロスの生きた時代は帝国が膨張し、分裂を予感させる歴史の変わり目であったあ事が指摘されている。

現在の物理学

エピクロスの原子論的唯物論を今議論をする事に意味があるか?私には現在の素粒子論と同じ議論に感じられる。量子力学においては決定論は否定され、真空の中にゆらぎを見いだしている。人間の思考能力(あるいは思考パターン)はわずか2300年では変化しない。

 

蛇足

どうしてヘロドトスへの手紙なのだろう?

エピクロス(BC341-270)、「歴史家」のヘロドトス(BC485-BC420)であれば時代にずれがある。