世の中はけっこう簡単にできている、知らないだけ~ニュートンと木星から
プリンキピアを読む―ニュートンはいかにして「万有引力」を証明したのか? (ブルーバックス)
和田氏は素粒子物理学の研究者。
万有引力の法則の証明
私は本書44ページから以下の様に整理した。
①木星の衛星は木星の引力を受けており、引力は木星からの距離の二乗に反比例する。
② 月は地球の引力を受けており、引力は地球の距離の二乗に反比例する。
③惑星は太陽の引力を受けており、引力は太陽からの距離の二乗に反比例する。
④全ての物体は各惑星の引力を受けている。その力は物質の持つ資料に比例する。=万有引力
①の根拠となるデータ
左図:ガリレオ 木星衛星発見
右図:本書45ページ
ニュートン(1642-1727)はガリレイ(1564-1642)とケプラー(1571-1630)の成果である木星の衛星の周期の計算を前提として1687年プリンキピアを記した。
②の根拠となるデータ
月と地球の中心からの円運動の半径と月の公転周期、
地球の中心からの地球の半径と地球上の振り子の周期
を比較した。この2つは円運動なので相似であり、違いは地球の中心からの距離と地球、月、振り子の重さ、である。下の図で月と振り子の動きが説明できる。
本書130ページ
③~④、木星、地球、月、振り子はすべて同じ運動法則
物体の動きは数学によって厳密に記述されることが明らかになった。宇宙のことが基本法則から出発し、数学的考察によって理解できることを示したのはニュートンが初めてだといってようであろう。(25ページ)
ニュートンの考えをまとめれば、「重力が遠方まで伝わるのは、力を媒介する物質が存在するからではなく、神がいかなるときもいかなる場所にも存在するからである。しかし我々は決して神の実体について知る事はできない。ただ神が、重力は距離の二乗に反比例して作用するこように、世界を支配していることを知れば、我々にとってはそれで十分である。」、ということになるだろう。(286ページ)
私は今から400年前の最先端科学の証明を現代の普通の人、私が理解できる。知の体系を構築する事と認識する事の差は本当に大きい。
蛇足
プリンキピアで最初に出てくるデータは木星の衛星、リンゴではない。