毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

楽しみながら生きる事、そして自分で決める事、エピクロスの思想

 

僕がいちばん願うこと―エピクロス的生活実践

羽仁進氏はドキュメンタリー映画作家として活躍された人。本書は2007年出版、当時79歳。本書の副題「エピクロス的生活実践」が検索にヒットして手に採る。

和仁氏のエピクロス的生活

エピクロスは、一人の人間(生物の一種)が幸福に生きるための心をもたらす哲学を主張したのだと私は思う。そのころの(いま今でも)哲学の主流は、プラトン派であった。私の考えでは、プラトンの思想には、人間を神に次ぐ優位の存在とする(私から見れば人間特有のエゴイスティックな)想念が流れている。かつて天上の世界(どこにそんなものがあるのでしょう)で暮らしていた人々のみが持つイデアが、お互いに結びついていくというプラトニック・ラブの観念など、いささか勝手すぎる空想と私には映る。

・古代 からの哲人、学者の多くは具体的に生活のことを探ろうとはしなった。もちろん食と幸福のことなど考えなかった。人生の目的はそのような現実から離れていると決めてけ、そのあとばかり追っていたのだ。

プラトン以来の伝統的な哲学を批判したり、否定して現れた様々な思考、たとえば近代社会の唯物論の多くも、「唯物」というわりには生活の中の物質の役目、美味しそうな匂いにも驚くような、味にも快い喉ごしにも、あまり触れないのは何故だろう。

十勝ワイン~好きな事を自分で初めてみる

大人になってワインが好きになったころ、北海道十勝地方の池田町で山ぶどうからワインを作る苦労話を読んで関心した。まだ日本でワインを作っている所 はごく少なかった時代である。寂しい小さな町の名物を作ろうと考えた町長の丸山金保さんと仲間たちは、全て自分たちだけで始めた。ワインになるはずが、酸っぱいお酢みたいなものができた。読んでいるこちらは吹き出すが、本人たちがさぞがっかりしたことだろう。なにしろ酵母を入れて発酵させなければワインにはならない、という基礎中の基礎も知らないでワイン作りに取り組んでいたのである(中略)経験不足な人間が自分たちでやれば失敗もある。でも、その失敗をよく見つめ、そく調べることが大切である。そこで十分に学んで納得してから専門的な助言を得るようにして、初めて本当の成功が得られるのではないか。(9ページ)

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TOKACHI WINE 十勝ワイン [池田町ブドウ・ブドウ酒研究所] 【十勝ワインの誕生】

エピクロス(BC341ーBC270)~古代ギリシャのヘレニズム期哲学者

・死はわれわれにとっては無である。われわれが生きている限り死は存在しない。 

      死が存在する限りわれわれはもはや無い

・われにパンと水さえあれば、神と幸福を競うことができる

・われわれが快楽を必要とするのは、ほかでもない、現に快楽がないために苦痛を感

      じている場合なのであって、苦痛がない時には、我々はもう快楽を必要としない

(Wiki)

蛇足

ワインを作るには時間と専門知識が必要と思っていた。すべてのものがゼロからのスタートであるという当たり前の事を認識する。自分達で生活の中に楽しみを見付ける事、そしてその楽しみを追求する事がすべてのものから自由になれる。