毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

静止衛星打ち上げの軌道

 

宇宙探査機はるかなる旅路へ: 宇宙ミッションをいかに実現するか (DOJIN選書)

山川氏は宇宙工学および軌道工学の実務者。「人類が有している技術では、ニュートンの重力の法則を無視できるように力強い宇宙機はまだ実現していません」。

静止衛星を打ち上げるときに、地上の発射点ーたとえば鹿児島ーからどうやって静止軌道までたどりつくのでしょうか?最短で到着することだけを考えると、鹿児島から真南に打ち上げて、直接赤道上の東経135度を目指せばいいのでしょうが、目標軌道に静止させるために必要な速度修正量が大きく、巨大なロケットあるいは人工衛星が必要になります。

静止衛星打ち上げの軌道

静止衛星を搭載したロケットは、まず地球の自転速度を有効に利用する為に真東方向に打ち上げられ、ロケットの第一段と第2段の加速によって高度250㎞に持ち上げられます。高度250㎞が近づいてからもロケットの第2段による加速を続けて、地球を周回するのに必要な高度である毎秒8㎞まで加速します。この時点では、高度250㎞の円軌道に投入されています。ロケットの第一弾で軌道をとにかく上昇させ、第一段を分離した後、第二段で水平方向の軌道速度まで加速する作業を行うことになります。

 

地球を周回するのに十分な速度をもったロケットは東方法に飛翔しますが、地図上では南東方向に飛び続けて太平洋上の赤道を通過することになります。赤道付近でロケットの第2段を再点火して加速させることで円軌道をより拡大し、細長い楕円軌道に投入します。「近地点(地球に一番近い点)の高度が250㎞、「遠地点(地球から一番遠い)の高度が3万6000㎞になります。

一般にはこの時点で人工衛星はロケットから分離されますが、この高度250㎞kら高度3万6000㎞までのに達する軌道を「静止遷移軌道」と呼びます。

最終的に静止軌道に投入する為には、人工衛星のエンジンを使って、遠地点である高度3万6000㎞の地点で人工衛星を加速して、近地点の高度を250㎞から静止衛星上の高度である3万6000㎞まで上昇させます。(40ページ)

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蛇足

一直線に高度を上げていくと思っていた。物理の法則に秘密はない。