毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

宇宙にゴールドラッシュ到来  レイヤー化され、フロンテイアの消滅した地球から

 

焦点:宇宙にゴールドラッシュ到来か、「水確保」が課題に (ロイター) - Yahoo!ニュース     

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11月21日、宇宙で鉱物資源を採掘するという発想は、もはやサイエンス・フィクションではなく、商業的に現実味のあるものとなりつつある。写真は小惑星ベスタを目標とする無人探査機のCG映像。2012年8月にNASA提供(2013年 ロイター)

 

レイヤー化する世界―テクノロジーとの共犯関係が始まる (NHK出版新書 410)

このニュースを聞いて思い出したのが本書。佐々木氏はフリージャーナリスト。本書そで「情報技術の革新は、メディアや産業構造を根本から変え、超多国籍企業を生んで労働と富のグローバル化を加速し、国ぐにの力を殺いだ。ITを基盤としたシステムそのものが権力化するなか、個人もまた生き方の変容を迫られている。」佐々木氏は現代・近未来の例え話で説明する。

 

21世紀 金鉱堀りの新しいテクノロジー

手には使い込んだ丈夫なツルハシと、そして精密な超小型電子機器。僕にはこのふたつの道具を使いこなし、金を掘り出している。大金持ちにはなっていないが、僕と家族が仲間たちとともに暮らすのには、じゅうぶんな収入になっている。(中略)金鉱堀りの技術革新が起きたのだ。いままで金が出ないと思われていたような場所からでも、深い深いあなを掘って金を掘り出す技術が発明されたのだ。(中略)深い層の金鉱堀りの技術を発明したのは、若者たちが起業した新しい会社だった。(165ページ)

 新しい会社の提供するビジネスモデル

会社は参加者に①深い層の金鉱堀りの技術を収益の30%のシェアリングで提供、②無料でツルハシを提供、③小型電子機器「プリズム」をわずかな費用で提供。 (地層を透視し薄い金鉱を見る事ができる。

このビジネスモデルは参加者が会社の提供する場と共犯する事でビックデータを形成すると同時に利用しリターンを得る仕組みの例えであろう。

佐々木氏のメッセージ

超多国籍起業が作る場、場の上でレイヤー化されていく世界、レイヤー化した世界で、プリズムの光の帯になっていく私たち。私たちと場の共犯関係。(238ページ)

レイヤーでつながろう。場と共犯し、場を利用し、場に利用されよう。そして場の上を流れていこう。大地の上を動き続けよう。(268ページ)

蛇足

地球は既に国家資本や巨大資本により長年にわたり開発され、今やレイヤー化されてしまった。数少ないフロンティアが残されたスペースは宇宙である。