毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

黒海は7600年前 大洪水を引き起こした

1872年12月ジョージ・スミス、大洪水の発見f:id:kocho-3:20131118063032p:plain

大英博物館のジョージ・スミスはアッカド地方のチグリス川上流ニネヴェの遺跡から発見された粘土板の解読内容を聖書考古学会で発表した。「船がニシル山に止まったと言う記述に捕らえられた。それには、鳩をはなしたこと、それが立ち止まるところもないのでもどって来たという話が続いていた。」(142ページギルガメッシュ叙事詩 矢島文夫)

 

ノアの洪水

ノアの洪水は本当に起こったのか?気鋭の海洋地質学者2人が、旧約聖書に記述された「大洪水」を、最新科学を駆使して検証する。(2003年出版)

かくしてメソポタミヤの粘土板は、スミスとその同僚、聖書の教えを受けた者たちに、多くの手強い疑問をもたらした。どうしてメソポタミアの物語が聖書とこれほどまでに酷似しうるのか?二つの物語の内容が本質的に同じであり、ほとんど同じ発音の言葉を使い、文章でもほぼ同一の言い回しが用いられることがどうしてありうるのか?聖書はもはや人類創世の歴史を語る最初のものではないのか?

 黒海は7600年前、淡水湖だった

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今から1万 1000年前までに、地表は広く氷床で覆われ氷河時代となっていた。やがて氷床は急激に縮小し、温暖な気候に逆戻りした。黒海周辺は氷河時代に厚い氷床で押さえつけられ、大地はその重みで沈み、大陸の真ん中の巨大な窪地となった。その真ん中にできた湖は乾燥した大地で生活する人々にとってほんとうの意味でのオアシスになっていた。やがて氷床の融解で水かさを増した海水は、ボスポラス海峡から窪地に流れ込んだ。その勢いはすさまじく、まるで洪水のようであった。当時、黒海のところにあった湖の周辺で文明が発達し、、人々が農耕生活をしていたとすれば、人々は洪水から逃れて生き延びようと、家畜をつれて命からがら脱出をしていったのではないか。(326ページ川上伸一氏解説)