毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

2008年「パラダイス鎖国」から「ゆるやかな開国」はどうなったか?

パラダイス鎖国

 

パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54) 。海部氏は米国在住の経営コンサルタント。10月15日のブログで最新の「ビックデータの覇者たち」を紹介させて頂いた。本書は日本でiPhone発売以前の2008年3月に出版、その後リーマンショック、日本の震災と目まぐるしく変わった。

「もう、日本人は海外に行きたくなくなったし、海外のことに興味がなくなったのかもしれない」と感じた。そして、その状態を「パラダイス鎖国」と名付けた。(13ページ)

 

海部氏は産業界においてもパラダイス鎖国(特定グローバル企業の輸出競争力に依存、その力も年々低下している、)と分析している。日本の輸出依存度は2009年までのピークで18%、は2012年で14%前後である。感覚的にも民生用エレクトロニクス産業の衰退を考慮すると氏の主張どおりだと言える。この後いきなり「情報のコミュニュケーション」に変える。

 

f:id:kocho-3:20131031054035p:plain

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_28.html

ゆるやかな開国~海外とのコミュニュケーションのあり方

海部氏はパラダイス鎖国を前提として「いろいろなレベルのいろいろな活動で外の世界とつながっている、という姿である。それが、『ゆるやかな鎖国』だ。(180ページ)

 今後の海外とのコミュニュケーションの重要性を説明している。本書が出版されて以降、IT技術の進歩はつながる事のコストは2008年の想定以上に低下している。検証するデータは持ち合わせていないが、産業界の変化が正しかったし、iPhoneに代表されるスマートフォンの普及というテクノロジーの変化を前提に「ゆるやかな開国」も静かに進行していると仮定してみる。

「ゆるやかな開国」の静な拡散

「ゆるやかな開国」は知識人とかではなくもっと幅の広い層でのコミニュケーションを想定している。日本と海外のコミュニュケーションはピークでの交流も増えているし、次の層のすそ野の広いレイヤーでの日本語と英語も広がっていると思う。(但しITにより日本語同士のコミュニュケーションがもっと増えている。)海部氏の言うとおり「ゆるやかな開国」は特定のレイヤーではどんどん加速していると考える。しかし日本語でのコミュニュケーションにおいてこれらが拡散する事によって日本全体に波及していると思いたい。