毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

ニッポン金融力会議を機会に考えるべき事

 

日本経済新聞でニッポン金融力会議について報道されていた。

 不愉快な現実 中国の大国化、米国の戦略転換 (講談社現代新書)

孫崎氏は元外務官僚であり本書は2012年3月発行。はじめにで「本書においては将来必ず起こる『中国が超大国として米国を抜く』事態を前提として日本の生きる道を探ろうとするものである。」(13ページ)

日本の銀行はなぜ世界のトップの座から落ちたのか

 f:id:kocho-3:20131028062644p:plain

本書によればこの図は2011年6月に上智大学公開講座で北山三井住友銀行会長が示したものとの事である。

日本の銀行が凋落していく背景にBIS基準があった。BIS規制とは、1988年国際決済銀行により定められた銀行の自己資本比率に関する規制(バーゼル合意)である。(中略)ここから銀行がとった策は二つ。一つは自己資本を拡大すること、一つは貸出額を縮小すること。(中略)そして、こうした銀行の動きについて、徳田博美大蔵省元銀行局長は実質的に「BIS規制導入は日本の銀行との競争において米国の銀行が優位に立つため」だったと述べている。二十年の間に世界の金融機関ベストテンを日本の銀行が占めていた状況から一変したのは偶然ではない。米国の意図が反映している。(99ページ)

今考えるべき事

米国は間接金融から直接金融へのシフト、国際間資本取引の自由化、デリバティブ取引拡大による信用創造、など金融システムそのものを変更した。よく言われるルールを変更した。それは当たり前だが米国の金融機関にとって有利となる部分が多い。新聞報道によれば現在日本の金融機関はそれぞれアジアシフトを鮮明にしている、金融システム全体としての整合性がとれているのか、今考えるべき事である。