毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

今後の人口変動でしっておくべき事

 2100年、人口3分の1の日本 (メディアファクトリー新書)

鬼頭氏は日本経済史、歴史人口学の専門。統計的にみて日本の人口の減少は免れない。

知っておくべきデータ  

日本の人口 1.28億人、合計特殊出生率1.41 外国人の比率1.67%

2055年の想定人口  高位(楽観シナリオ) 9,952万人

          中位          8,993万人

          下位(悲観シナリオ)  8,238万人

 

    

どうして人口は増えないか?

鬼頭氏はその要因を①乳幼児死亡率の低下、②結婚する事、子供を産む事が当たり前でなくなった、③現代文明の行き詰まりを予想させるような不安感、と分析する。

 

幕末開港期の人口3,300万人

人口が停滞していたとはいえ、現存すえる国のなかでは中国、インド、ロシア、フランスに次ぐ世界第5位で、高大な領域をもつオーストリア帝国にも匹敵した数である。人口密度はいうまでもなく世界一だった日本は、もはや鎖国した農業社会の限界に達していたのだった。(52ページ)

 

中世ヨーロッパの人口減少

1347年、5世紀以来姿を消していた黒死病(ペスト)が再びイタリアに侵入、48年にはアルプス以北へ拡大して、たびたび大流行を引き起こした。その結果、14世紀を通じてヨーロッパでは多くの人命が失われた。人口統計学のべネットによれば、1300年に7,300万人あったヨーロッパ人口は1350年に5100万人、1400年には4500万人まで減少したと推測されている。正確な数字がわからないにせよ、1/4から1/3ほどの人口が100年の間に失われたのである。(中略)人口の減少したヨーロッパでは当時、農耕地の面積に対して労働者の数が足りず貴重な労働力としての農民の地位や賃金が上昇したとの記録が残っている(66ページ)

GDP総量を維持した場合

GDPを維持したまま人口が減ると一人当たりGDPは上昇する。2055年には2005年に比較すると約1.4倍一人当たりGDPになる。これを実現すべきなのか?実現するにはどうしたらいいのか?これから考える上でまず事実を認識する事からはじまる。日本人は幕末には世界第5位の人口、決して小国でだったのではなく、世界の中で先駆けて人口はへり、世界の人口の中で占める割合は低下するが、日本人が貢献しなくてはいけない事は減少しない、と思う。