毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

収穫の秋 トウモロコシ

10月に入り収穫の秋である。日本人にとっては穀物と言えばお米だが世界的にみるとトウモロコシが最大である。

 文明を変えた植物たち―コロンブスが遺した種子 (NHKブックス No.1183)

酒井氏は明治製菓を経た食文化史家。本書ではじゃがいも、ゴム、チョコレート、トウガラシ、タバコ、そしてトウモロコシが触れられている。

トウモロコシは不思議な植物である。トウモロコシを現在の形態のままで自然の中に放り出したら、子孫を残していくことはまず不可能であろう。(207ページ)

 トウモロコシの特徴は穂軸に数多くの種子がついており、未だに原種となる野生種が発見されていない。起源はメキシコのBC5000年頃に遡り、年代ごとに穂軸が大きくなっており、品種改良が進んでいる事がわかる。

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トウモロコシはイネ科の植物であるが、同じイネ科に属するイネやコムギに比べると、栽培する上で優れている点が多い。(中略)トウモロコシはイネやコムギに比べると、光合成の効率がはるかに優れている。(210ページ)

 トウモロコシの収穫率(収穫量/まいた種子の量)は800倍、イネは現在の日本では100倍、コムギと比較すると単位面積当たりの収穫は重量比3倍、極めて高効率である。

三大穀物の中では、タンパク質のアミノ酸評価がもっとも低い、つまりタンパク質の質がもっとも劣っているのがトウモロコシである。(229ページ)

 現在トウモロコシの収穫のうち65%が家畜向けの飼料として消費、トウモロコシは食肉の元になっている。穀物の中ではトウモロコシ8.5億トン、コメ6.7億トン、コムギ+オオムギ7.7億トンと最大の生産量を占める。馴染みが薄いだけに知りませんでした。

 蛇足

トウモロコシの生食は生産量の4%!、焼トウモロコシは美味しいが、、。