毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

2000年前の中国の人口、約70百万人

中国の最古の人口統計は西暦2年、前漢末期の調査に遡る。当時の世界人口3億人の1/4を占める約70百万人と推計される。

 貝と羊の中国人 (新潮新書)

加藤徹氏は京劇の研究者、「漢字力」の著者でもある。

中華帝国の人口規模の限界は長いあいだ、「戸籍登録人口6千万、実質約1億人」だった。人口がこのラインにちかづくと、農業生産が人口を養いきれなくなって、社会不安が起こる。混乱と人口訪韓のなかで、王朝は滅亡する。このパターンは紀元1世紀から、十七世紀半ばの清の初めまで、何度も繰り返された。(中略)中華帝国は、十七世紀まで「戸籍登録人口6千万の壁」を突破できなかった。(89ページ) 

 この壁を突破したのはトウモロコシやサツマイモなど外来農作物の普及が行われた人口4億人を突破する清の時代である。そして現在、中国の人口は13億人、世界人口72億人の18%を占める。世界の人口推移の中で見ると2000年の間20-25%の間を推移してきた事になる。この数字が大きいか小さいかは価値観の問題ではあるがこれにより世界の人口の動きがより臨場感を持って認識できる。

 本書のタイトル「貝と羊の中国人」は著者が中国の二重性を漢字を使って説明する内容に依る。具体的には華僑の商才に象徴される現実主義は「貝」に由来を持つ漢字「財、貨、貿、など」に、儒教や共産主義に象徴されるイデオロギー性は「羊」を由来に持つ漢字「義、美、善など」に含まれているとしている。2006年の出版であるが話は3000年にわたり、今も時間のずれを感じさせない。