毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

恐竜はなぜ鳥に進化したか?

恐竜はなぜ鳥に進化したのか―絶滅も進化も酸素濃度が決めた (文春文庫)

 著書のP・D・ウォード氏は古生物、地球・宇宙科学の研究者。

本書のはじめにから仮説の部分を引用する。

歴史を通じての大気中の(ひいては海中の)酸素濃度の時間的変化が、地球上の動物の性質、すなわち、形態および基本的な体制(ボディプラン)、生理、進化および多様性を決定するもっとも重要な要因であったというものである。

①地層の分析等から現在の大気の酸素濃度は21%,石炭紀(今から約3億年前)には30%弱、逆にジュラ期(2億年前)には13%程度であったと推定されている。

カンブリア紀(5.4億年前)から6回の大規模な生命絶滅が発生している。

①と②には相関があり、これを結びつける仮説が上記である。(相関関係はあるが因果関係があるかは立証されていないので「仮説」である)

酸素減少の主要要因として地殻のプレート運動による超大陸パンゲアの衝突と分裂のサイクルが挙げられるのだそうである。地球の環境は5億年単位でダイナミックに変化している事は間違いない。それがどういう結果をもたらすか?生命にとっては環境変化の中で絶滅の危機に瀕しながらも命をつなげてきた。当たり前の事だが億年単位で考えれば絶滅の危機はまた到来する。

本当に我々はこの未来を前提にしているのであろうか?人間は臨場感をもって1億年=100年×1,000,000回という時間軸を認識できるであろうか?

私は知識こそがその臨場感の源だと思う。