毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

非常識な本質

2013年3月日産自動車を退社されたGT-Rの開発者、水野和敏氏の新著。 

227ページ「さようなら、GT-R」の写真に以下の注釈がある。

「日産GT-R(R35型)の外観も、アウタースケールでの最終決定を意識した。

場所と条件は「ロサンゼルス市ロデオドライブのシャネル店舗前での最高のエンターテイメント感」、そして「ドイツの古い優雅なパレスとワイン畑での優美さと力強さ」と、開発スタート時点ですでに決めていた。

 

車の開発には巨額の資金と大規模な組織、そして多くの人員がかかわっている。それと真逆の方法で開発されらのが日産GT-R。 

 水野氏のサクセスストーリー、GT-RプロジェクトXだが、私が心を動かされたのはプロジェクトのゴールを明確に見通せる人間の認識能力の不思議さである。

GT-Rの市販は1997年、水野氏がカルロスゴーン社長(当時)にプロジェクトリーダーに指名されたのが2003年。

人はまだ開発すら始まっていない車の風景をここまでリアリティをもって描画できるものだという事に驚かされる。水野氏が2003年にイメージした風景=「人が想像した未来の写真」の実例を正に認識できる。

 絵画の本質が絵ではなく絵を描いた人を想像する事だとしたら、車を作った人のイメージを想像できる幸せをこの本から想像できる。

以下の写真は水野氏のwebより

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http://r.goope.jp/k-mizuno