毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

石油は何からできたか?~ラン藻その②(シアノバクテリア)

 石油は何からできたか?微小生物の死骸の蓄積だとする有機成因説、地球内部で生物を介さずに形成される無機成因説の2種類がある。現在では有機成因説が主流であり地球にある石油の大部分は有機によるものだと考えられているそうである。(石油という表現は天然ガスも一緒で石油=化石燃料の代表とお考えください)

 

先日の2013年8月11日ぶろぐで紹介した大河内氏によれば27億年前に誕生したラン藻(シアノバクテリア)が地球規模で赤潮化した事があったそうだ。

 

世界で数十万年に渡って全地球的に赤潮が発生した時期がありこれが地層に「黒色頁石」として形成されている。この原因は地球規模での地殻変動、気象変動で生物が誕生してから5回あったそうである。

「地球のからくり」に挑む (新潮新書)

 大量絶滅 生物進化の加速装置

http://www.brh.co.jp/seimeishi/journal/044/research_11.html#1

 

この5回の大量絶滅はラン藻だけでなくあらゆる動植物に及ぶ訳で、赤潮数億年レベルで生物を形成していた炭素が一旦すべて死骸になった時期が数十万年続いた時期があったと捉える事ができる。

 

ここまで想像して初めて石油と地球歴史との関係性が見えてくると思う。

 

石井氏のロジックに従って数字で捉える努力をしてみる。

①植物が1年間に光合成によって固定化する太陽エネルギー       150

70億人が1年間に必要な食糧エネルギー                 

③人類が1年間に消費する一次エネルギー                                26

(②+③)÷150=18%

 

人類が誕生したのが10万年前、シアノバクテリアが誕生して27億年、わずか0.0037%、誤差の範囲内である。

植物が固定化した太陽エネルギー150×27億年、このうちどの程度が化石燃料として蓄積しているか?

 

エネルギー論争の盲点―天然ガスと分散化が日本を救う (NHK出版新書 356)

違った角度からのロジックがある。エネルギーアナリストである石井氏は著書「エネルギー論争の盲点」の中で約5兆トンの炭素が化石燃料として地球に堆積しておりこれは石油換算で40兆バレル、今までに消費した化石燃料2兆バレルでその95%が残存していると推計している

 

私はこの2つのロジックから臨場感を持って認識した事は石油は少なくとも100年レベルでは無くならない。少なくとも長期的・構造的に石油が枯渇しこれが価格に影響を与えるとはイメージつかない。石油の価格変動の要因は短期的な需給と市場心理がその多くの部分を占めていると位置付けるべきだと認識すべきである。(なお石油価格が上がらないと主張するつもりはありません、逆に市場心理の影響が大きいからこそボラティリティも高いと思います。)

 

子供に石油は何からできたと思う?天然ガスとの違いは?と聞いてみます。