毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

地球の定員~地球のからくり

「地球のからくり」に挑む (新潮新書)

 著者の大河内氏は独立行政法人海洋研究開発機構JAMSTEC ジャムステック)のプログラムディレクターで研究者との事です。

 70億人の人口を支える為に必要な食糧エネルギーは2京キロジュール/年①でありこれは地球が太陽から受け取る年間エネルギーのわずか0.0007%である。穀物として固定化される太陽エネルギーは32,000兆キロジュール/年②である。

 ②>①であり、人類は地球全体として農業による食糧生産を通じ供給は十分可能であり飢餓は配分の問題である事になる。我々は太陽の恵みで毎年十分な食糧を手に入れられるのである。

 本書によればこの食糧生産にとって重要な元素が窒素=窒素肥料であり、ドイツで1909年に開発されたアンモニア合成により食糧増産の条件を充足した。

 

 人類は本質的には飢餓から100年前には抜け出している事になる。それでも我々は地球に住む皆がこれを共有できていない。一つの例がアンモニア合成は一方で火薬の原料となり世界大戦を引き起こした。生命が誕生して40億年、DNAに深く刻まれた飢餓の恐怖を修正するには時間がかかるのであろう。恐怖を克服するには事実を認識する事が何より重要である。まず理想論と言われようとも身近な人と「我々は飢えないのだ。」という科学的な知識を共有する事が何より重要だと思います。私自身わずか一世代前の親から「ご飯が食べられない苦しみ」を聞かされてきましたので、、。

 上記は本書12章のうちの1章と2章の内容です。まえがきに「エネルギーこそが物質の世界を串刺しにできる共通語である、地球のからくりを理解するのに、これほど便利な共通語は他にない。」と始まります。読みどころ満載です。 (私は初めて石油の起源が1億年前のシアノバクテリア(赤潮の一種)の堆積と理解できました。)