毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

物理

太陽がある限り進化は終わらない~『情報と秩序:原子から経済までを動かす根本原理を求めて』C・ヒダルゴ氏(2017)

情報と秩序:原子から経済までを動かす根本原理を求めて セダルゴ氏は複雑系経済学の研究者、経済成長とはそもそも情報成長のひとつの表われにほかならない(2017) 情報とは ・・・本来情報は物理的なものだ。・・・確かに、情報は触れない。固体でも液体でも…

現代科学の特徴は何か?~『科学の発見』S・ワインバーグ氏(2016)

科学の発見 ワインバーグ氏は素粒子物理学の研究家、1979年ノーベル賞受賞。「美しくあれかし」というイデアから論理を打ち立てたギリシャの時代の哲学がいかに科学ではないか。(2016) 物理学の目標とは何か? 物理学の目標および標準はその間(過去百年単…

”巨人の肩の上にのる”、ということ~『アインシュタインと相対性理論がよくわかる本』茂木健一郎氏(2016)

アインシュタインと相対性理論がよくわかる本 (PHP文庫) 茂木氏は脳科学、認知科学の研究者、20世紀最大の発見といわれる相対性理論は、どこが真に革命的だったのか? (単行は2009年、文庫は2016) ガリレオ ガリレオの発見で一番重要なのは、「ガリレオの相…

量子生物学という言葉を知っていますか?~『量子力学で生命の謎を解く 量子生物学への招待』Jカリー氏×Jマクファデン氏(2014)

量子力学で生命の謎を解く 量子生物学への招待 量子生物学とは、生物の持つ量子力学的な性質を研究し、 量子力学を使って生命現象を解き明かす学問のことである。(2015) シュレーディンガーの「生命とは何か?」(1944) シュレーディンガーは遺伝子は、10…

生命とは宇宙の”ムラ”である~『0と1から意識は生まれるか――意識・時間・実在をめぐるハッシー式思考実験』橋元 淳一郎氏(2000)

0と1から意識は生まれるか――意識・時間・実在をめぐるハッシー式思考実験(ハヤカワ・ノンフィクション文庫) (ハヤカワ文庫NF) 橋元氏はSF作家、古今の科学者・哲学者を翻弄し続ける難問の数々に挑戦する。人はなにゆえ科学を学び、また難解な哲学書に挑戦す…

人間とは、エントロピー増大を加速させるための構造だった!~『確実性の終焉―時間と量子論、二つのパラドクスの解決』I.プリゴジン氏(2016)

確実性の終焉―時間と量子論、二つのパラドクスの解決 非平衡の研究でノーベル賞を受賞、決定論的な物理法則と進化発展する世界との相互克服の読みは、最終段階を迎えた。(1997) 非平衡過程によって構造が生まれる 非平衡過程の物理学という新しい科学が発…

ニュートン以前、我々は世界をどう観ていたか?~『宇宙を動かす力は何か 日常から観る物理の話』松浦 壮氏(2015)

宇宙を動かす力は何か 日常から観る物理の話 (新潮新書) 松浦氏は素粒子物理学の研究家、「物理の本質は、身の周りに起こる現象の中にパターンを見出し、そのパターンに共通する理を見出すことで、複雑な世界をコンパクトかつ正確に理解することにあります」…

情報とは物理的存在である~『宇宙を復号する―量子情報理論が解読する、宇宙という驚くべき暗号』チャールズ・サイフェ氏(2007)

宇宙を復号する―量子情報理論が解読する、宇宙という驚くべき暗号 サイフェ氏はサイエンスライター、宇宙は情報でできている。(2007) 情報理論 情報理論がこれほど強力なのは、情報が物理的なものだからだ。情報はただの抽象的な概念ではなく、ただの事実…

デジタル化とは目に見えない情報が減り目に見える情報が増えること~『宇宙をプログラムする宇宙―いかにして「計算する宇宙」は複雑な世界を創ったか?』セス・ロイド氏(2007)

宇宙をプログラムする宇宙―いかにして「計算する宇宙」は複雑な世界を創ったか? ロイド氏は量子コンピューティングの研究家、宇宙は何のために存在するのか? それは、計算をするためである。何を計算しているのか? それは、宇宙自体、すなわち自分自身である…

宇宙誕生におけるプランク時間(10の−44乗) とは何か?~『戸塚教授の「科学入門」 E=mc2 は美しい!』戸塚洋二(2008)

戸塚教授の「科学入門」 E=mc2 は美しい! 故戸塚洋二・東京大特別栄誉教授物はスーパーカミオカンデ素粒子の一つ「ニュートリノ」に質量があることを示す「ニュートリノ振動」を発見した。2008年死去、同じ研究チームに所属していた梶田隆章氏が2015年ノーベ…

青色LEDの活用は始まったばかり~『天野先生の「青色LEDの世界」 光る原理から最先端応用技術まで 』天野 浩氏(2015)

天野先生の「青色LEDの世界」 光る原理から最先端応用技術まで (ブルーバックス) 天野氏は2014年ノーベル賞受賞、本当にすごいのはこれからだ! 青色LEDはなぜ夢のある技術なのか、その原理と研究の最前線を開発者自らが分かりやすく紹介。(2015) LEDは半導体…

青色LEDの活用は始まったばかり~『天野先生の「青色LEDの世界」 光る原理から最先端応用技術まで 』天野 浩氏(2015)

天野先生の「青色LEDの世界」 光る原理から最先端応用技術まで (ブルーバックス) 天野氏は2014年ノーベル賞受賞、本当にすごいのはこれからだ! 青色LEDはなぜ夢のある技術なのか、その原理と研究の最前線を開発者自らが分かりやすく紹介。(2015) LEDは半導体…

青色LEDの活用は始まったばかり~『天野先生の「青色LEDの世界」 光る原理から最先端応用技術まで 』天野 浩氏(2015)

天野先生の「青色LEDの世界」 光る原理から最先端応用技術まで (ブルーバックス) 天野氏は2014年ノーベル賞受賞、本当にすごいのはこれからだ! 青色LEDはなぜ夢のある技術なのか、その原理と研究の最前線を開発者自らが分かりやすく紹介。(2015) LEDは半導体…

ノーベル財団がノーベル賞に託すメッセージとは何か>~『日本にノーベル賞が来る理由』伊東 乾氏(2008)

日本にノーベル賞が来る理由 (朝日新書) 伊東氏は作曲家、指揮者、原爆、核開発からポスト冷戦後まで、パワーポリティクスを鮮やかに読み解き、日本の進むべき道を指し示す。世界の研究と開発を左右する、「最高権威」ノーベル財団の戦略とは。(2008) 湯川博…

~『ニュートリノでわかる宇宙・素粒子の謎』鈴木厚人氏(2013)

ニュートリノでわかる宇宙・素粒子の謎 (集英社新書) 鈴木氏はニュートリノ観測に従事、ニュートリノは他の物質と反応しにくいからこそ物質や宇宙の奥底からさまざまな情報を私たちの届けてくれる「(2013) ニュートリノの切っ掛け、ベータ崩壊 ベータ崩壊…

どうしてラーメンをフーフーと息で冷やせるか?宇宙のビックバン再現の秘密~

宇宙のはじまり (イースト新書Q) 多田氏は素粒子物理学の研究家、宇宙はどのように誕生し、今の姿になったのか? 140億年後を生きる人類は、加速器という装置を作り出し、宇宙が生まれた瞬間――100兆分の1秒後にまで迫っている。2015) <a href="http://kocho-3.hatenablog.com/entry/2013/10/12/134643" data-mce-href="http://kocho-3.hatenablog.com/entry/2013/10/12/134643">ヒッグス粒子の次は暗黒</a>…

原子核は反発する力と引き合う力で出来ている~『ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器>』多田 将氏(2015)

ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器> (イースト新書Q) 多田氏は素粒子物理学者、原子核が膨大なエネルギーを生み出す仕組みから、兵器に利用する際の設計方法、冷戦時代につくり出された究極の産物まで、直視しなければ見えてこない「核」の本当の姿を…

原子核は反発する力と引き合う力で出来ている~『ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器>』多田 将氏(2015)

ミリタリーテクノロジーの物理学<核兵器> (イースト新書Q) 多田氏は素粒子物理学者、原子核が膨大なエネルギーを生み出す仕組みから、兵器に利用する際の設計方法、冷戦時代につくり出された究極の産物まで、直視しなければ見えてこない「核」の本当の姿を…

直流と交流の違いを説明できますか?~『知られざる天才 ニコラ・テスラ』新戸 雅章 氏(2015)

知られざる天才 ニコラ・テスラ: エジソンが恐れた発明家 (平凡社新書) 新戸氏はテスラの研究家。「電気の世紀」と言われる二十世紀。電気の魔術師と呼ばれ、この時代を切り開いた偉大な発明家がいた。彼の名は、ニコラ・テスラ。その先駆的なアイデアは、一…

羅針盤は中世の魔術をルネサンスの自然科学に変えていた~『磁力と重力の発見』山本 義隆 氏(2003)

山本氏は科学史の研究家、「遠隔力」の概念が、近代物理学の扉を開いた。(2003) ロジャー・ベーコン「大革新」の表紙(1620) 「世界の周航と知識の増加は同じ時期に起こることが神の摂理で定められている」 大航海時代 コロンブス以降、16世紀の堰をきったよ…

アインシュタインの相対性理論は主客逆転させる思考実験によって生まれた~『水平思考の世界~電算機時代の創造的思考法』エドワード・デノボ(1969)

水平思考の世界―電算機時代の創造的思考法 (1969年) エドワード・デボノ氏は情報処理の心理学の研究家、確実性の高い垂直思考ではなく 確実性の低い水平思考をどうやって行うかについて語る。(1969年) 単純だが見慣れない図形をどうやって誰もが知っている見…

物理学はいつ誰が始めたのか?~『物理学とは何だろうか?』朝永 振一郎(1979)

物理学とは何だろうか〈上〉 (岩波新書) 朝永 振一郎(1906年 - 1979年)は、日本の物理学者。超多時間論を元にくりこみ理論の手法を発明、量子電磁力学の発展に寄与した功績によって、ノーベル物理学賞を受賞した。(Wiki) 現代文明を築きあげた基礎科学の…

物質は情報で出来上がっている、それでは情報とは?~『情報の宇宙』H・C・V・バイヤー(2006)

量子が変える情報の宇宙 バイヤー氏は物理学の研究者、情報ビットは電子ビットから量子ビットへ。量子ビットの奔放な振る舞いの謎を知る。 (2006年) “IT is from BIT. 「“IT(それ)”、すなわち物質世界は、その全体あるいは一部分が“BIT”、すなわち情報から…

エネルギーとは"状態の変化"の事、欲しかったら自ら変化すればいい。理科と物理の復習からわかるエネルギッシュに過ごす秘訣~『エネルギーとはなにか』RG・ニュートン(2015)

エネルギーとはなにか そのエッセンスがゼロからわかる (ブルーバックス) RG・ニュートン氏は理論物理学が専攻。2015年刊 エネルギーという言葉を当たり前の様に使う。今となってはエネルギーという概念がどうやって成立したのか忘れている。教科書的に知識…

南極点で考える、宇宙の始まり~『宇宙はどうして始まったのか』松原 隆彦 著(2015)

<宇宙はどうして始まったのか (光文社新書) 松原氏は宇宙論の研究者、この宇宙は、「無」から始まったのか。 私たちは宇宙の存在の謎にどこまで迫ることができるのか。2015年刊 宇宙の無を想像できるか? そもそも宇宙とは何なのだろうか?中国の古い文献「…

理想的コンピューターの計算コストは「いくらかかるか?」~『熱とはなんだろう』竹内 薫 氏(2002年)

熱とはなんだろう―温度・エントロピー・ブラックホール… (ブルーバックス) 竹内氏はサイエンスライター、 熱の正体は? 2002年刊 ビリヤード型コンピューター 電子の代りにビリヤードのボールを入力して、ボールどうしが途中で衝突したり壁で跳ね返ったりして…

物質とは何か?物質もまた相対的な概念であると気付く~『知の構築とその呪縛』大森壮蔵(1985)

知の構築とその呪縛 (ちくま学芸文庫) 大森壮蔵(1921-1997)は哲学者。16世紀に始まった科学革命は、「心」に帰属するものが排除され、自然と人間の分離、主観と客観の対立が生じることになった。 大森氏はガリレイの物質感を引用 わたし(ガリレイ)がある質料…

今更ながら「エントロピーが縮小する事」を実感する~鈴木炎氏「エントロピーをめぐる冒険」

エントロピーをめぐる冒険 初心者のための統計熱力学 (ブルーバックス) すべてのエネルギー変化は温度が伴う ドリルで木に穴を開けるとドリルの刃が熱くなる。必ずエネルギーの一部が不必要な熱エネルギーになってしまう事は実感出来る。熱エネルギーはドリ…

温度計が無かったらどうやって気温を伝えるか?~測定するには尺度と目的が必要

温度から見た宇宙・物質・生命―ビッグバンから絶対零度の世界まで (ブルーバックス) 17世紀イタリアで使われた「寒暖によって生じる空気の変化を見分ける装置」 測定するとはどういう事か? 17世紀初めは、様々な測定機器が発明された時代であった。この時代…

真空とは五感で感じられる物質のない事、五感で感じられない場は存在する~「真空のからくり」

真空のからくり (ブルーバックス) 山田氏は理論物理学、「真空は決して“空っぽ”の空間ではなく、複雑極まる物理系であり、この宇宙のすべては真空から生まれた」-これが本書のメインストーリーです。(3ページ)2013年刊 場の存在を五感で感じる事はできな…