毎日1冊、こちょ!の書評ブログ

2013年8月から毎日、「そうだったのか」という思いを綴ってきました。

テクノロジー

全知全能の神は人間を理解できるか?~『神は沈黙せず』山本弘氏(2003)

神は沈黙せず この世界は、人類は「神」と呼ばれる知性体のシミュレーションなのではないか?(単行は2003、文庫は2004) 本書はSF、ネタバレになるのでストーリー等は割愛します。本書では全知全能としての神と人間の関係、AIを作った人間とコンピュータ、…

今更ながら、Googleは知識に価格メカニズムを導入していた~『知の進化論 百科全書・グーグル・人工知能』野口悠紀雄氏(2017)

知の進化論 百科全書・グーグル・人工知能 (朝日新書) 知識と情報の拡散は、この世界のあり方をどのように変えてきたか? インターネットは検索できる グーグルの方法は、そのページにリンクするサイトの数によってページを評価するものです。・・・引用文献…

人間にしかできないことは何か?~『人工知能の核心』羽生善治氏(2017)

人工知能の核心 (NHK出版新書) 羽生氏は棋士、 電王戦を中心としたコンピュータ将棋と人間の棋士の間で起きている様々な事象が、今後、人口知能が社会で応用されていくときに想定される事態を先取りしているように思えることです。(35ページ) 人口知能の特…

人類はいつからコンクリートを使っているか?~『 コンクリートなんでも小事典』土木学会関西支部

コンクリートなんでも小事典―固まるしくみから、強さの秘密まで (ブルーバックス) コンクリートは 維持管理をきちんとすれば、構造物を100年もたせることも可能。(2008) コンクリートはなぜ固まるか セメントの原料には、主に石灰石と粘土、そして少量のけ…

250年前、チェス指しロボットが存在していた!?~『 謎のチェス指し人形「ターク」』T・スタンデージ氏(2011)

謎のチェス指し人形「ターク」 スタンデージ氏は作家、1770年、ウィーンで常軌を逸した発明がベールを脱いだ。通称「ターク(トルコ人)」というロボットは、世界第一級のチェスの指し手だった! (2011) チェス指し人形「ターク」の誕生 1769年の秋のある…

将来自動車運転は乗馬の様なスポーツに戻るのかもしれない¥~『 サイエンス異人伝 科学が残した「夢の痕跡」』荒俣宏氏(2015)

サイエンス異人伝 科学が残した「夢の痕跡」 (ブルーバックス) 荒俣氏は作家、 発明品と発明者の伝記を読み解く(1995年単行、2015新書) 路上の交通機関 路上の交通機関は、19世紀後半に、ひとつの黄金期を迎えていた。まず、馬車であるが、パリやロンドン…

ライターズ・ブロック、という言葉を知っていますか?~『 明日、機械がヒトになる ルポ最新科学』

明日、機械がヒトになる ルポ最新科学 (講談社現代新書) 小説家・海猫沢めろんが最先端の研究を行う7人の科学者を訪ね、「人間化する機械」と「機械化する人間」、その両方がぶつかり合う境界を見つめ、「人間」について考えます。 ライターズ・ブロック 作…

シリコンバレーでベーシックインカムの実験が始まった理由~『ルポ シリコンバレーで起きている本当のこと』宮地ゆう氏(2016)

ルポ シリコンバレーで起きている本当のこと 宮地氏は朝日新聞サンフランシスコ支局長、テクノロジーの中心シリコンバレーではベーシックインカムの実験!が始まっている、という。(2016) ベーシックインカム・プロジェクトの担当者マット・クリシロフ氏が…

これから100年、電気と同様AIも目に見えない存在となる~『〈インターネット〉の次に来るもの―未来を決める12の法則』ケヴィン・ケリー氏(2016)

〈インターネット〉の次に来るもの―未来を決める12の法則 ケリー氏はテクノロジーに関連する著作活動を精力的に行う、 AI(人工知能)は電気のように日常を流れ、VR(ヴァーチャルリアリティ)は現在のスマートフォンのような存在となる。(2016) 結果よりプロ…

今更アバターの語源を知った~『ソーシャルマシン M2MからIoTへ』Pセンメルハック氏(2016)

ソーシャルマシン M2MからIoTへ つながりが生む新ビジネス (角川EPUB選書) センメルハック氏は、家電分野でIOTを手掛ける起業家、ソーシャルネットワークに参加するのは人間だけではない。あなたのツイッターを次にフォローするのは、自宅の冷蔵庫かもしれな…

我々は、太陽エネルギーのどの程度消費しているのか?~『夢の新エネルギー「人工光合成」とは何か』井上晴夫氏(2016)

夢の新エネルギー「人工光合成」とは何か 世界をリードする日本の科学技術 (ブルーバックス) 太陽光と水だけでエネルギーを創り出し、二酸化炭素を再利用する人工光合成とは?(2016) 人類のエネルギー使用量を1とすると 人類が現在使用しているエネルギー…

エクスターネット的、という意味~『さよならインターネット - まもなく消えるその「輪郭」について 』家入一真氏(2016)

さよならインターネット - まもなく消えるその「輪郭」について (中公新書ラクレ 560) 自由と可能性に満ちた「世界」は、むしろ閉ざされつつあると家入氏は警告する。 パソコン通信からSNSを経由し、サーバー事業やプラットフォーム事業、さらに都知事選まで…

あなたのゴールに導いてくれるカーナビがあったらいいと思いませんか?~『情報参謀』小口日出彦氏(2016)

<情報参謀 (講談社現代新書) p> 小口氏は情報分析と情報表現のコンサルタント、テレビとネットのメタデータを縦横無尽に駆使した政治情勢分析会議が極秘裏に行われていた。(2016) 政治と情報 私が関与した政治情報分析の現場では、テレビ報道を中心に、日…

自画像画はどうやって生まれたか?~『世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史』S・ジョンソン氏(2016)

世界をつくった6つの革命の物語 新・人類進化史 ジョンソン氏はノンフィクション作家、大発明に寄与したのは、ガリレオやエジソンといった偉人だけではない。多くの人が目の前にある問題に懸命に取り組むなかで予想外に生み出されてきたのだ。(2016) 1440…

”日本経済衰退論”は”あなたの衰退論”ではありませんか?~『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』井上智洋氏(2016)

人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊 (文春新書) 井上氏はマクロ経済学の研究家、人口知能が経済をどの様に変えるのか?(2016) 日本は衰退する運命にあるのか? 年配の人文系知識人が、己の人生の黄昏に重ね合わせるように、「わが国の零落は避けられな…

虚実皮膜という言葉を知っていますか?~『いずれ老いていく僕たちを100年活躍させるための先端VRガイド』廣瀬通孝氏(2016)

(星海社新書) 廣瀬氏は機械情報学、VR(バーチャルリアリティ)の研究者、VRでどうやって世界を変えるか?(2016) VRによって何が実現できるか? VRはバーチャルな世界を作る技術です。世界は空間と時間からなります。言い方をかえれば、空間と時間を自由に…

なぜライト兄弟の飛行機の翼は2枚なのか?~『 不安定からの発想』佐貫 亦男(2010)

不安定からの発想 (講談社学術文庫) 佐貫 亦男は航空宇宙評論家、ライト兄弟はどうして大空を飛べたのか。(単行は1997、文庫は2010) 翼をねじって左右の安定を確保 (ライト兄弟がヒントを得た鳥の)コンドルの安定法は、右羽の端部の前縁を上げて、後縁を…

バーチャルリアリティの本来の意味を知っていますか?~『VRビジネスの衝撃―「仮想世界」が巨大マネーを生む』新 清士氏(2016)

VRビジネスの衝撃―「仮想世界」が巨大マネーを生む (NHK出版新書 486) 新氏はジャーナリスト、バーチャルリアリティ(VR)は、実は10年後に約12兆円(最大)もの巨大なビジネスを生む。(2016) バーチャルリアリティ(VR) バーチャルリアリティは「現実世界と…

新しいテクノロジーには既存価値観の変更が必要~『IoTとは何か 技術革新から社会革新へ 』坂村健氏(2016)

IoTとは何か 技術革新から社会革新へ (角川新書) 坂村氏は分散型コンピューティングTRONの提唱者、 「IoT=モノのインターネット」で、私たちの社会や生活は、一体どう変わるのか。(2016) IOTとは何か? 現実世界全体を組み込みシステムにするというのは、基…

そうか、自由になるには知性が必要だったのか、~『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』山口周氏(2013)

世界で最もイノベーティブな組織の作り方 (光文社新書) 山口氏は組織開発の実務家、 組織とリーダーシップのあり様に目を向け、苗床となる土壌を整備してあげること。それができて初めて、イノベーションの種子は健全に芽吹くようになるのです。(2013) ビジ…

あなたのクォリティとは何ですか?~『禅とオートバイ修理技術』R・M・パーシグ氏(2008)

禅とオートバイ修理技術〈上〉 (ハヤカワ文庫NF) 記憶障害を患った元大学教師が、オートバイで旅をした哲学紀行(原書は1974、文庫は2008) オートバイという観念 精密機械というものは、ある観念(アイデア)の実現を意図して、できるだけ精密に作…

スマホはこれから手足を獲得するロボットのこと~『空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか? 』高城 剛氏(2016)

空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか? ドローンを制する者は、世界を制す 高城氏は”コミュニュケーション戦略と次世代テクノロジーの戦略”家、性能は「空飛ぶスマートフォン」と言えるほど高機能に進化し、すさまじいスピードで日常生活の中に入りつつあります…

テクノロジーとは個人の可能性を広げる技~『テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか?』K・ケリー

テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか? ケリー氏は雑誌Wiredの編集長、人類は石器からコンピューターに至るまで、さまざまなテクノロジーを生み出してきた。 これらに通底する普遍的な法則、そしてテクノロジーの本質とは、いったい何なのだろう か?(…

部屋と机はあなたの拡張された脳である~『生まれながらのサイボーグ: 心・テクノロジー・知能の未来』アンディ・クラーク氏(2003)

生まれながらのサイボーグ: 心・テクノロジー・知能の未来 (現代哲学への招待 Great Works) クラーク氏は認知科学、哲学の研究家、言語の登場以来、人間はサイボーグだった!コンピューターや人工知能、スマートフォンやタブレット端末、脳や身体に直接埋め込…

テクノロジーとはある目的の為に自然界をプログラミングすること~『テクノロジーとイノベーション―― 進化/生成の理論』W・ブライアン・アーサー氏(2011)

テクノロジーとイノベーション―― 進化/生成の理論 アーサー氏は、経済学分野における複雑系理論の研究家、経済というのは私たちが必要とするものを供給するためのテクノロジーをうまく組織したものにすぎない。(2011) (新しいテクノロジーとは、どこから…

時間と距離、身体の限界から自由になったとき、何をしたいですか?~『スーパーヒューマン誕生! ―人間はSFを超える 』稲見昌彦氏(2016)

スーパーヒューマン誕生! ―人間はSFを超える (NHK出版新書) 稲見氏は人間拡張工学、エンタテイメント工学の研究家、人間拡張する身体、サイボーグ化する人間、分身ロボット……未来は希望か、絶望か。人間の身体観が更新するとき、はじめて情報化社会は完成す…

モラベックのパラドックスという言葉を知っていますか?~『ザ・セカンド・マシン・エイジ』Eブルニョルフソン+Aマカフィー(2015)

ザ・セカンド・マシン・エイジ EブルニョルフソンとAマカフィーはデジタル化の経済的インパクトの研究者、 蒸気機関の発明によるファースト・マシン・エイジは18世紀後半に始まった。いま、コンピュータを中心としたセカンド・マシン・エイジに突入した。(2…

日本にイノベーションが起きない本当の理由~『未来に先回りする思考法』佐藤 航陽氏(2015)

未来に先回りする思考法 株式会社メタップス代表取締役社長の佐藤航陽が自身の体験から培った「どんな状況にあっても未来を見通せる汎用的な思考体系」を、読者のみなさまにお伝えします。(2015) テクノロジーには流れがある テクノロジーは「人間を拡張す…

モノとは非言語でグローバル、そして人の暮らしを変える~『メイカーズ進化論―本当の勝者はIoTで決まる』小笠原 治氏(2015)

メイカーズ進化論―本当の勝者はIoTで決まる (NHK出版新書 471) ”Gatebox”、面白そう! 小笠原氏は、秋葉原の“モノづくり"拠点DMM.make AKIBAをプロデュース、メイカーズの本質を「売れる」「作れる」「モノゴトで稼ぐ」で解説。(2015) http://make.dmm.com…

いつか無くなる灯台というもの~『灯台の光はなぜ遠くまで届くのか 時代を変えたフレネルレンズの軌跡』テレサ・レヴィット氏(2015)

灯台の光はなぜ遠くまで届くのか 時代を変えたフレネルレンズの軌跡 (ブルーバックス) レヴイット氏はサイエンスライター、1800年代、海難事故が相次いでいたフランスで、暗い海を明るく照らす灯台が求められていた。小さな光を効率よく、より遠くまで届ける…